発表会やリサイタルでは楽譜を譜面台に置かず覚えて演奏するスタイルが一般的です。
このスタイルはクララ・シューマンが始めたとも言われていますが、諸説あるようです。
クララがピアニストとして活躍していた100年後位に音大生だった私は同期生がピアノの実技試験の前に次のように嘆いていたのを聞いたことがありました。
『クララが暗譜などというものを定着させたから私たちが苦労するのよ』と。
その場に居合わせたほとんどのピアノ科の学生は同感だったと思っています。
そもそも名ピアニストだったリストが暗譜演奏をしていたらしいのですが、シューマンの奥さんで子供もたくさんいて、素晴らしいピアニストで作曲もした才女だったクララに学生だった私やピアノ科の同期生たちの多くが羨望や嫉妬のような感情を持っていた気がします。
暗譜での演奏は突然わからなくなる危険をはらんでいるので準備万端整えないと怖いものなのです。
クララは忙しい生活だったからこそ、準備万端の先に暗譜があったのかも知れません。
でも今回はその怖さや大変さの話ではなく、読譜を絡めた暗譜を考えてみたいと思います。
読譜も暗譜も目的は如何に演奏を良くするかです。
そこでテーマになるメロディーや終止形など曲の決め手になる部分を読譜の時や弾きにくい箇所の部分練習の時に覚えてしまう方法はどうでしょう。
勿論どこが決め手になるかが分からないと、手の付けようがないので、読譜が重要だと気が付くと思います。
練習が進んで弾けるようになってくると、譜面台に楽譜を置いていても、いちいち譜面を見ていないことがあるはずです。
部分的にでも覚えているところを増やすのは、気に入っている曲なら苦にならないと思います。
そしてその曲をレパートリーにすると自分が演奏しながら、人が演奏しているのを聴くように楽しむこともできます。
次回、レッスン20<レパートリーを持つ事>は12月5日更新予定です。
これまでのレッスンはメニュー【ピアノを楽しむために】からご覧いただけます。