レッスン10
<練習曲の世界その2>

練習曲と名が付いていても演奏会のプログラムに組まれる曲もたくさんあります。

有名なところでは『別れの曲』『黒鍵』などが入ったショパンのエチュードがあります。

リストは『ラ・カンパネラ』などパガニーニによる超絶技巧練習曲や演奏会用練習曲として何曲も練習曲を作曲しています。

特筆すべき練習曲集は、ハンガリーの作曲家バルトークが作曲し第1巻から第6巻にまとめ上げた『ミクロコスモス』です。

バルトークが1939年に友人から“若いピアニストが現代音楽の演奏のためだけでなく、譜面の読み方を充分に習得出来るような完璧な教則本を作ったらどうか”と勧められたこと、次男ペーテルの教育のためもあってミクロコスモス第1,2巻が作曲されました。

第3巻以降に収められている曲は、第1,2巻より前にピアノ教育の目的と演奏会用作品として作曲されていたものです。

第6巻の最後の6曲は難曲ですが、かなり弾けるようになった人が一度弾いてみたらいかがでしょう。

ピアノの機能を存分に活かして作曲されていて「ピアノってこんな楽器だったんだ」としみじみ思うかもしれません。

長調短調だけでなく、教会旋法、ペンタトニックという音階を使っていて、ショパンやリストの有名な曲とは雰囲気が全然違います。

そのため一般的には練習曲として使いにくいかもしれませんが、ピアノの名手でもあったバルトークが、ピアノをよく知っていて、ピアノのために作り上げた、まさに『ミクロコスモス(小宇宙)』になっています。

ピアノの練習曲集というと、子どもの頃からレッスンに通われていた方は、この曲集が終わったら一段階大きく進んで、凄く上手に、譜読みもスッとできるようになるかなと楽しみに練習した経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。

その反面、これが弾けないと全然ダメだと思わされピアノが嫌いになった人もいらっしゃるでしょう。

練習曲のことを考えるとき、あまりそれにとらわれないことがピアノを楽しむ秘訣ではないでしょうか。

レッスン11<アンサンブルの楽しみ>

次回は8月1日更新予定です。

これまでのレッスンはメニュー【ピアノを楽しむために】からご覧いただけます。

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